クシュリーと精神の球(二)/朧月夜
今、この時をもってしても、
魔導士エインスベルとクシュリーとを比較する声がある。
しかし、その意見は筋違いであると言えるだろう。
というのは、エインスベルが駆使するのが魔導であったのに対して、
クシュリーの魔法は祝福であったからである。
クシュリーは、決して己のために魔法を用いなかった。
クシュリーは、今でも聖女とあがめられている。
魔女と言われるエインスベルとは、その方向性が違ったのである。
「クシュリー、お前は一体何をしたというのだ?」戦士エイソスが尋ねる。
それに対して、「今迫害されている人々を、わたしは救っただけです」
平然として、クシュリー・クリスティナは答えた。
「人はすべて自由であるべき存在なのです。
わたしは、慈悲の神ファンクトと、復活の神ルアウアラルに祈っただけです」
そして、その通りのことが起こったのである。
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