クシュリーと精神の球(三)/朧月夜
「それでは、お前の魔法とは祝福であると言うのだな?」
「はい。わたしは神々に祈りを捧げるだけです。
そして、人々をどう扱うのかは、神々が知るだけです」
それが、戦士エイソスとクシュリーの会話だった。
「それでは、カラスガラの街はどうなると言うのだ?」
「それは、神々の思し召しのままです」クシュリーが答える。
戦士エイソスは、「うーん」と唸った。
「そなたは、まこと神々の使いであると言うのだな?」
「人々がそうであると言うのなら、そうでありましょう」
戦士エイソスは、千人隊長になったばかりである。醜聞は避けたい。
「ならば、それを貫き通せ、わたしの妻であると言うのであれば」
「それは、そのようにする所存です。あなたに迷惑はかけますまい」
戦士エイソスが安堵したことには、クシュリーはエイソスの妻として迎えられた。
奴隷という身分が、カラスガラからは一掃されたのである。
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