クシュリーと精神の球(四)/朧月夜
困ったのは、もちろんクールラントの奴隷商人たちである。
彼らは、奴隷という身分があることを理解できなくなった。
そして、自らの商売を続けることをも、
「奴隷とは、はたして何だ?」というのが、彼らの囁きである。
それに比して、一般市民たちはクシュリーの祝福を褒めたたえた。
クールラントの国からは、奴隷という身分の者たちが一掃されたのである。
人々は、平等にして、自由になった。
これも、慈悲の神ファンクトと復活の神ルアウアラルの力による。
そのことによって、クールラントの力は増したのか、
それとも他国よりも劣る存在となってしまったのか。
これは、その後の歴史が証明していよう。
クールラントは、クシュリーの祝福によって実り豊かな土地となった。
それは、ラゴスやアースランテの望まないことではあったが。
クシュリーは、その生涯を通じて聖女となったのである。エインスベルに比して。
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