アースランテ対ラゴス(九)/朧月夜
 
しかし、そこには因縁が生じた。
アイソニアの騎士と、エミル・アザルとの戦いである。
アースランテの千人隊長たちは、
こぞってアイソニアの騎士を褒めたたえた。

彼らにとっては、サンクト・ガリの勢力を削ぐことこそが、
第一の目的であったからである。それは達成された。
今後、ラゴスの国がサンクト・ガリをその砦とすることはないであろう。
別の街を前線に据える必要があったのである。

アイソニアの騎士は、それでも悔しさを隠せないでいた。
「あの、エミル・アザルという男、
 エインスベルと同等の魔力を持った存在です」

「油断するなかれ」千人隊長である、エリス・ガザンデは言った。
「戦いはまだ、始まったばかりだ。
 我々は、なんとしてもラゴスの国を倒さねばならない」
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