来訪者(四)/朧月夜
ヒスフェル聖国はクールラントの北西にある国である。
その国内にはガラセラの樹があると言われ、
小国のわりには魔法石が豊富であった。
そのため、周囲にある国とは一線を画した施政をしていた。
ヒスフェル聖国には、エインスベルの師匠である
オスファハンもいる。彼は決して戦を望まないものだった。
もし、レ・スペラスが攻めてくるのであれば、
なすがままになされれば良いのだ、と思っていた。
所詮人知にまさる神の意向など、人間などに分かるものではない。
オスファハンは楽観主義者でもあり、悲観主義者でもあった。
それゆえにこそ、オスファハンはエインスベルと決別したのである。
今のオスファハンは、エインスベルの敵でもあり、味方でもあった。
彼女が助けを求めてくるのであれば、オスファハンは拒絶しないつもりでいた。
しかし、戦争や政治が絡めばどうであろうか。彼にも答えは出せずにいた。
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