来訪者(五)/朧月夜
「そのヒスフェル聖国のオスファハンが、
アースランテ国王と通じているとしたら、
どうでしょうかな?」
ハザック・アザンは冷静に言った。
エインスベルは驚いた。
「ヒスフェル聖国は魔導士の国である。
それが、軍事国家であるアースランテと折り合うわけがない」
「はたして、そうでしょうかな……」
エインベルはハザック・アザンの冷たい笑いに身震いした。
「あなたの行くところは、もうどこにもないのですよ。
おとなしく、アースランテに参じることです」
しかし、エインスベルは言った。
「わたしはどこにも行かぬ。クールラントの地の他へは」
その声に、落ち着きと冷静さとはなかった。
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