ワイジェの丘の戦い(三)/朧月夜
 
ここで、結界の呪文について説明しておいたほうが良いだろう。
結界の呪文には、風の結界、水の結界、土の結界、火の結界、
光の結界、闇の結界などの呪文がある。
エインスベルはそのすべてに精通していた。

例えば、風の結界であれば、風の精霊の加護を受けた者しか、
通ることが出来ない。その他の者たちははじかれてしまうのである。
あるいは、結界のなかで、その動作が緩慢になる。
レ・スペラスとの戦いで、エインスベルが用いたように、

通常は結界の呪文を使って、敵を各個撃破していくのである。
しかし、今回は違う。今回は逃亡のために結界の呪文を使う。
「わたしは結界を張れますが、全員に精霊の加護を付与することは不可能です」

エインスベルは言う。それに対して、ラジーク・ユーゲルは答えた。
「すべての者でなくても良いのだ。目的は敵の主力を削ぐことにある。
 千人隊長ファシル・グーゼン、ノベル・ハイスなどが後陣を務めてくれる」
   グループ"クールラントの詩"
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