ワイジェの丘の戦い(四)/朧月夜
状況は一変した。エインスベルは、
敵の主力と思われる部隊に風の結界を張り、
四分の一ほどの、味方の兵たちに風の精霊の加護を付与した。
「これでアースランテの包囲陣を突破することが出来る」
ラジーク・ユーゲルは、クールラントの軍務大臣に推されるほど、
戦術と戦略に精通していた。エインスベルの魔法によって、
敵と味方の強弱が入れ替わったのである。
エインスベルは、炎の呪文によって敵兵たちを焼き払っていった。
その他の兵たちも負けてはいない。短剣、長剣、槍、斧、棍棒、
それぞれ得意な武器は違っても、相手を確実にしとめていったのである。
アースランテの兵たちは、なすすべもなく倒れていった。
しかし、後陣を務める千人隊長ファシルやノベルはどうしていたか?
彼らは苦戦していた。敵の魔導士が予想以上に強力だったのだ。
およそ千名の兵士たちが、アースランテの攻撃の犠牲になった。
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