薄明の中で(十四)/朧月夜
フランキス・ユーランディアは、クールラントの為政者たるクーラスが、
自分に対する率直な言動によって対してくれる、ということが、
何よりも嬉しかった。「自分は信用されている」のだと。
だからフランキスは、クーラスに従おうとする。
その考えが、些細な過ちに囚われいるとしてもだ。
そして、自らに下された使命には、実直に報いてくれる、と思わせてくれる。
カリスマ性というものが、クーラスにはあった。
エインスベルやアイソニアの騎士が、いかに彼を敵と見なそうと。
「クーラス様。そろそろあなたご自身のお考えをお聞かせくださいませ。
それとも、わたしはそれほど信用に足らない者ですか?」
「うむ。そなたには、クールラントの礎となってもらいたい」
フランキスは息を呑んだ。なぜなら、祭祀クーラスはその命をも投げだそうと、
しているように感じられたからだ。「何なりと、仰せつけくださいませ」
「大層なことではない。汝には、エイソス亡き後、この国の軍を率いてほしいのだ」
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