プレアデス星団/道草次郎
 
冬。
暦には雪の結晶、六角形の季節。
生まれくる雲には水色の涙袋。かなしい。

常緑のもの、それだけが空にたくましい。
石炭紀の繁茂の俤、梢にチラつく褶曲地層のまぼろし。

空気の匂いがすごく古くて、うれしい。
もうじき白の夢想の季節がやって来て、うつくしいものは皆より一層美しくなってしまう。

それもまた、
あはれをさそう。

風だけがひとり、初冬の柔らかな陽射しの中をかけてゆく。
それを追うように、おとなしい燠が、刹那、カッと深紅の火花を宙に舞わす、

プレアデス星団、万歳と。

   グループ"幻想の詩群"
   Point(4)