エゴ・エリス? 干ぶどうの菓子で私を力づけ りんごで私を元気づけてください/PAULA0125
 
月が見ゑぬ 濡れ羽が広がつてゐる
爪櫛の如く 敷き詰められた 羽根が広がつて
一条の光すら無く 啼くや恋しき 鴦(おしどり)の吟(こえ)を
ぴいりぴりりと 唄つてゐる

此処は獄 永久に開かぬ 放たれぬ
見ゑぬ見ゑてる 見ゑる見えて 見たゐ見えて
歌う金糸雀 沈黙知らず 劈く声を
ちいろちろろと 響かせる

おお なんと愛らし 羽根であらう
小指の爪の 隙間にすら 侵されて
雪化粧のやうな この膚を
すりやすりやと 撫でれば見える

此処は厩 畜生が棲む場なれば 人は暮らさぬ
見ゑぬ見ゑてる 見ゑる見えて 見たい見ゑて
干し草の かほりだけが 私を包むのを
すう
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