無人駅 〜ジョバンニ発、カンパネルラ行〜/ハァモニィベル
スは、どこか寒々とした景色の感触を持つのだろう。俺には、東京駅も、新宿駅も無人駅だ。
君は今、どの辺りを走っているのだろう。ホームの下に、モノと化した俺達を繋ぐレールが見える。その千数百円のレールから軽やかに、モノでない君が、俺のホームに降り立って笑いかけるのを待ちながら、日に何本も到着する1番線の列車を背中に見ている。もうすぐ、君の到着する時刻だ。そしたら、同じ行き先の切符を買ってふたりで心から笑い合おう。
*
前 次 グループ"プチ企画作品または制作時工夫のある作品"
編 削 Point(3)