【HSM参加作品】真鍮の牛/るるりら
こどものころ 戦争は いつかなくなると 思っていた
実際の話 古代や中世の時代と比べたら
安易な理由では、人は人を殺めたりはしなくなったのだろうか
むかし 中世の時代に 真鍮の牛という処刑の道具があった
実際の話 真鍮は 熱伝導率が高いので
その牛の腹の部分に罪人をいれて火をつけると すぐに熱くなり
罪人の悲鳴が 牛のいななきのように鳴る仕組みだったと云う
そして
王に 命じられてその牛を製造した者が
まず最初に、その腹に入れられた と 云う
近代という時代に入ってからも、ファラリスの雄牛は あった
それは、それは おおきな牛だった
あどけない こどもたちも 武器を作っていた街の幾つかが まるごと すべて
牛の腹に 入れられて、火は つけられた。そして その街で悲鳴が とどろいた
その死臭を覚えている人々の口は、重い。
人は、莫迦ではない
昔と比べて 安易な理由では 人を殺めたりしなくなってゆくのだろう
それは ほんとうだろうか
人々が、あのころよりも さらに おおきな牛を造っていると
うわさしている
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