『目玉二ア』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
特別な日には
ダブル目玉焼き
そして特別の日にしか使わない
翡翠色の 決して焦げ付かない
聖なる フライパンチェスコ
今 火に掛けて
油を少量たらす
黙祷 静けさの中で
卵をそっと握り微笑む
最後の口づけを済ませたら
フライパンチェスコの三時と九時の方向
通称「屠られる卵の峰」と
卵のウエストを水平に狙い定め
角度は直角に距離五から六センチに近づけ
そしてスナップでバネ的瞬発
左右ほぼ同時に
それぞれ片手で熟す 訓練の賜物
卵は古き殻を脱ぎ捨てダイブする
変貌の灼熱へ
微かな? ジュッ ?という オト
首すじへ熱い吐息のよう
ゾクっと イイ感
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