『遡上の果て』  卵から始まるはな詩?/ただのみきや
 
意図してもしなくても
そのすべてが女を苦しめ
そのすべてが女を狂わせる
この男は私のことを知らない
職場の誰も知らない
この男の言葉を誰が裁くのだろう
それともこれは報いなのか
正義は私を救いはしない
正義は私を告発する
あの時 他に選択肢はなかった
本当になかったのか
人はどこかに心の抜け道を模索する
晒す部分が人並み程度に白く見えれば
それ以上ほじくり返すことはしない
あとは仮想でいい

「もはや強制堕胎だな」

ああ卵たちが叫んでいる!
《お母さん お母さん お母さん お母さん
無数の赤い眼の瞳孔が大きくなって
どこまでも大きくなって私を捜している
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