Miz 1/深水遊脚
油断はできないが。
一頻り話終えたあとで、政志はいった。
「いっぺんに話したから頭のなかがぐちゃぐちゃだと思うよ。こちらからのお話はいったんストップするね。珈琲の余韻、邪魔してごめん。お詫びに一杯ご馳走させて」
「お気遣いなく」間髪入れずに断り、そして店主に向かい注文した。「ケニアをください」
政志も注文した「ブラジルで」。そのあと少し沈黙を挟んで、おずおずと私に向けて「珈琲がお好きなんですね」と言った。私は不機嫌のポーズを保ちながら、
「普通、ヒーロー云々よりその台詞が先にきますよね。」といった。
「あ、ごめんね。」
「ということはナンパじゃないんですね。」
「はい」
「
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