漆黒に彩られた翼−陽鳥に捧げる唄−/りゅうのあくび
 
渡しながら
羽ばたく翼をふわりと
双方へ伸ばして逝く
いつも翼は途方もない悲痛を隠していた
すらりと飛翔を描く軌跡は
まるで死神に宛て命の手紙を運ぶように
しっとりと手紙を
羽根のあいだに仕舞うようにして

やっと雨雲から抜け出すと
水滴が滴る翼の黄昏を拭うように
太陽が差す影には
きっと残された未来を
拒んだ過去がある

太陽に向かう旅立ちのとき
いつも炎に焦がされるみたいにして
悲しむ痕が風に沁みるとすれば
きっと透明な記憶は蘇えるだろう
宙に舞い続ける
儚い命の夢を届けようとする
暖かい翼は大空を抱きながら

ちょうど漆黒に耀く
羽根の刹那には
ひとひらの風だけが囁いていた
舞い落ちる詩神の唄とともに




※この作品はフィクションであり
実際の人物と団体とはまったく関係ありません。






   グループ"Breath of Fire Dragon"
   Point(4)