漆黒に彩られた翼−陽鳥に捧げる唄−/りゅうのあくび
渡しながら
羽ばたく翼をふわりと
双方へ伸ばして逝く
いつも翼は途方もない悲痛を隠していた
すらりと飛翔を描く軌跡は
まるで死神に宛て命の手紙を運ぶように
しっとりと手紙を
羽根のあいだに仕舞うようにして
やっと雨雲から抜け出すと
水滴が滴る翼の黄昏を拭うように
太陽が差す影には
きっと残された未来を
拒んだ過去がある
太陽に向かう旅立ちのとき
いつも炎に焦がされるみたいにして
悲しむ痕が風に沁みるとすれば
きっと透明な記憶は蘇えるだろう
宙に舞い続ける
儚い命の夢を届けようとする
暖かい翼は大空を抱きながら
ちょうど漆黒に耀く
羽根の刹那には
ひとひらの風だけが囁いていた
舞い落ちる詩神の唄とともに
※この作品はフィクションであり
実際の人物と団体とはまったく関係ありません。
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