変身/りゅうのあくび
ふと鏡の反射光に
目を凝らすと
いつの間にか
左耳だけが
ぎらりと耀く
爬虫類の黒い鱗で
軟らかく覆われていて
まるで空を焦がすように熱い
*
手馴れたはさみの動きは髪の毛に
巻きつくようにして
ルーズヘアーが
ざっくりと短くなっていく
華奢なスタイルをした
理髪師の女はほとんど何も
知らないみたいだった
*
じっとしている
黒髪の見えない影の奥には
漆黒の森があって
誰かが潜んでいる
炎に焼かれ続ける
灼熱の黒い鱗をもち
人間の心に棲むことのできる
魔言葉を話しては
想いのなかでどこまでも
羽ばたくことのできる
黒い翼があ
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