初夏/りゅうのあくび
 
休日のメガロポリスの朝
天空にぐっとくい込むように
コンクリート製の棘として
何本もの電柱が太陽の眩しさに突き刺さろうかと
悲しく立ち尽くしている
アパートの小さなテレビの天気予報は先月になって
例年になく早く梅雨入りを宣言している
梅雨が終われば蝉が鳴く

でも果たして今年は
空梅雨なのだろうかと思ってしまうぐらい
青空があって空気はあまり蒸していない
郵便の仕事をしている僕は
封書に入った手紙が濡れはしないか
心配なのだけれど
まだ東京は晴れの日が多い

ちょうど彼女が
髪を切りに美容室に行ったついでに
そうめんとめんつゆを
買ってきたところで
スタンドミラーをみながら
長い黒髪を触っている

まるで誰かが帽子を
少しずつ集めはじめるように
風はゆるく涼しいけれど
もうまもなく紫陽花は散って向日葵が咲く
雲がきれいで暑い
真夏がそこまできている

   グループ"彼女に捧げる愛と感謝の詩集"
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