灯台守のポートレイト/りゅうのあくび
浮かぶ円形をした
らせん階段を昇り
駆け落ちの部屋へと
向かいながら
ついに秘密の部屋へとたどり着く
終わりのない
冬の海の向こうには
外国に渡る船の
小さな航跡が記されていて
月夜の明かりが
窓辺から
綺麗に差し込んでいる
白い塔にそびえる
最上階の部屋には
暑い夏の季節に
誰かに宛てて
海へと投げ込まれた
メッセージボトルに
入っていた海水のように
まだ暖かく
硬いクリスタルでできた
長い浴槽がある
月のひかりが触ってくる
うっとりとして透明な浴槽で
恋人の肩より下の身体は
潮の満ちる月夜の空のした
深い紺の色をし
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