麦藁帽子のある白と黒のオマージュ/りゅうのあくび
定刻どおり
バスがまだ来ていないので
画用紙のうえには
バス停にいる人々の
シルエットが
壊れかけた
目覚まし時計の
秒針のように
記されていて
バス停で
麦藁帽子を
深くかぶり
白いフリルに
飾られた
ワンピースの
バスを待つ恋する人へと
向かって
デッサンは走る
鉛筆の先が
黒い弧をえがきながら
額縁のなかで
とても微かな重力が
はたらいて
白と黒の色は
ちりばめられながら
バスを待ち続ける人々の
オマージュは
くっきりとした
記憶のなかにあって
恋が生まれる
世界を
見るための窓として
綺麗なカジュアルをした
恋す
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