笛吹き少年の行くえ(5)/Giton
 
のです。):


   下書稿(一)手入れ(2)〔A〕

 若き母や織りけん麻もて
 全身紺によそほひ
 藁沓に雪軋らしめ
 町に出で行く少年あり

 青きそらのひかり下を
 小鳥ら、ちりのごとくなきて過ぎたり。
 青きそらのひかりに
 梢さゝぐるくるみの木あり

 そのとき
 雪の蝉
 また鳴けり
 くるみのえだには
 かぼそき蔓


若い母親が麻糸から織って作った紺色の着物を着て(注:母が糸から織って作った紺色の麻で全身を装った少年というモチーフの意味ですが、1924年に自費出版した詩集『心象スケッチ 春と修羅』を、賢治は、「表紙は、はじめの考えでは
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   グループ"宮沢賢治詩の分析と鑑賞"
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