笛吹き少年の行くえ(5)/Giton
では青い麻の粗布を用いたいという意向であった」(宮沢清六『兄のトランク』,p.171)、「表紙地は賢治は青黒いザラザラした手ざわりの布地を欲しがっていたのだったが見当らず」(小倉豊文「『春と修羅』初版について」,p.173,in:天沢退二郎・編『「春と修羅」研究?』,1975,学藝書林)、未漂白の麻布の白っぽい表紙になってしまったと言います。そこで、全身に紺の麻を着た「少年」とは、この初版本のことで、それを手づから織った「若き母」とは宮澤賢治自身ではないか、という読みが考えられます。私はまだこの着想を展開しえていないのですが、今後の課題としてここに記しておきます。)、少年が町に出かけてゆく景が描か
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