笛吹き少年の行くえ(7)/Giton
ことは暗示されていると言えます。しかし、その犠牲となった少年は、最初からまったく消し去られてしまっています‥
通常の作家の場合であったならば、これは作者が構想を変えたのだと、見られるかもしれません。少年遭難譚という構想を、作者は適当でないと考えて捨てたので、そのストーリーは削られたのだと‥
しかし、すでに、1970年代からの賢治研究の流れとしてご紹介したように、宮沢賢治の場合には、ことはそう簡単ではないのです。そもそも、“作品に手を入れる”ということ自体が、通常の作家のように、よりよいものを目指して彫琢を加えるということでは、必ずしもない。むしろ、いったん完成品と認めたものに手を加えて
[次のページ]
前 次 グループ"宮沢賢治詩の分析と鑑賞"
編 削 Point(1)