笛吹き少年の行くえ(7)/Giton
 
きぬ
 雲が燃す白金環と
 白金の黒のいはやを
 日天子奔りもこそ出でたまふなり


もはや、〔A〕断片は、「塵のごと小鳥啼きすぎ」の一行しか残っていません。

しかも、作者は、この計わずか6行に縮約されたテキストに「(了)」印をつけて、これを定稿とする意思を表示しているのです。(注:「下書稿(三)手入れ(3)」に「(了)」印が付された時期は、1932年2月頃〜10月頃の間と推定されます。というのは、?このテキストは係り結び「こそ‥なり」に誤りがあり、にもかかわらず「了」とされているからです。これは、1932年2月以降に文語文法の再学習をする直前の時期と考えられます。そして、下書稿
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   グループ"宮沢賢治詩の分析と鑑賞"
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