笛吹き少年の行くえ(8)/Giton
 
にも奉仕せず利用されぬことを本質とする文学テクストをも〔…〕利用して憚らない」(注:天沢退二郎『《宮沢賢治》のさらなる彼方を求めて』,2009,筑摩書房,p.154.)

しかし、その「日天子」の現出を、宮澤賢治という作者が、

「白金黒」の岩屋から、「みだれて奔りいでたまふなり」「奔りもこそ出でたまふなり」「奔せ出でたまふ」

 ──などと、ほとんど風刺漫画(カリカチュア)に近いまでにデフォルメして描いて見せるのは、詩人(詩の作者)としての自分の「語りが『宗教テクスト』でなく『文学テクスト』であることを主張しているからである。」(注:天沢退二郎:op.cit.,p.127.)


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