笛吹き少年の行くえ(8)/Giton
しても、空をちりのように飛ぶ小鳥──それは、風に飛ばされて来るきれぎれの言葉、ないし《詩的テキスト》《文学テキスト》を象徴します──を、一羽残らず消し去ることはできないし、“母なる空”の深みを侵すことも、できないのです。
「神楽」と「日天子」の現出は、天澤氏が次のように述べる意味での《政治的テキスト》によって、「口碑」を隠蔽し上書きするもくろみを、表現していたとも見られるでしょう:
「政治テクストの本質は、相対的〈正義〉や〈国益〉を旗印として他者を誘惑し、説得し、何とか思うように操ろうとするのを最大目的と」する。その目的のためには、「文学テクスト──〈真善美〉を基盤として他の何ものにも
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