夜更けの紙相撲「かけがえのないもの」/そらの珊瑚
けかえはない→かけがえはない
子鹿の命と引換えて作られた「かけ」は他に替えのないほど大切ということか。
自分にとってかけがえのないものを考えてみる。なくなっては困るかもしれないけれど、あきらめがついたり、しかたないと思いつつも替りになるものがありそうな場合がほとんどだ。そうやってなんとか折り合いをつけていくのが人生ともいえるかもしれない。まだ人生を始めたばかりの幼子でも、冬のくもった窓ガラスに今日描いた絵が、ほどなく消えてなくなるのを知る。がっかりするかもしれない。泣くかもしれない。今日の幼子にとって、それはかけがえのないもの、かもしれない。けれどまた明日も同じように、その小さな指で絵
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