非力さと几帳面さと 勝目梓『恋情』/深水遊脚
把握した上で、情事に臨みます。そして相手の反応、ちょっとした変化をよくみています。登り詰めるためには必要であり、また様々な経験から身に付いたであろう気配りと几帳面さはまた、情事に最も必要な要素でもあります。しかし嫉妬が生まれてしまうと、相手の事情や性格をきめ細かく知っていることは、楽天的な逃げ道を封じて、向き合いたくない現実に自らの心を縛りつけてしまいます。
劇的な事件が何か起こるわけでもなく、ごく自然な成り行きで、妻とは離婚することになり、愛人には年相応の若い男がいたので別れることになります。
男性としての衰え、それでも満たしたい性的欲求、でもセックスのパートナーは自分を一番に慕ってくれ
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