【刀】かただかな鼻/るるりら
 
世の中の 大抵の不幸は知らないことから 始まる。
誰かの携帯の音かと思えたが違うようだ。着信は無い
すずむしの声だったようだ

山深くにある この集落の中心には 無数のシデの木が群生している
天狗の里と呼ばれており、古来からシデの上を塒としてくらしている
シデの木も ほかの地域の シデとは違う。
幹は曲がりくねっており 
飛行からかえってきた天狗たちが座る場所に事欠かないし、
衣類を干す場所にも苦労しない。
霧氷のついた服が、天日に干されて 輝いている。 
「やあ」
巻き上げられた紅葉の中から 奴が声をかけてきた
「おまえの鳥瞰図をみせておくれよ」というので グーグル地図
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