川柳が好きだから俳句を読んでいる(2、八木三日女のこと)/黒川排除 (oldsoup)
幼児性を、すなわち赤ん坊がいうことを聞かないでギャーギャー喚くうっとうしさに見られるような暴力性から逆引きしたような幼児性を描き始める。初期の作品にもこういった子供っぽさはあり、それは血や暴力と隣り合っていたため異様であった。ところが、上記三つのうち後半ふたつはまあまあ最近のものだが、血と暴力が退色し、代わりに幼児性が老人性のボケのようにすっとぼけた風味に現れるのだ。明らかに血と暴力を離れ、しかし作者の死が近付き、暗喩的に死を描き始め、実は軽くすっとぼけているような作風にジャンプした八木三日女は、たいていは晩年つまらなくなる俳人と違って独特の進化を遂げたクールなババアと言えるだろう。
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