川柳が好きだから俳句を読んでいる(6、上甲平谷のこと)/黒川排除 (oldsoup)
 
とだ。つまり一時期若さによるほとばしりがあり、その後やや闊達と日常を振り回し、最後は死に寄り添いながら日常をただ書くようになってしまう俳人がいるとしよう、人間の一生の長さから言ってそこから先は普通ない、しかし上甲平谷は初手からその先にいるのだ。人生二百年ならば後半の百年を彼は既に生きている。そうであろうと予想される位置にどっしりと腰を下ろしている。正しく人を超えているという点では彼を超人と言っても良いのかもしれない。

 火蛾は火の焦熱知らで闇來たる
 秋うららの呼ぶ聲じつと觀入る
 踊る宗教薄氷の溶けては流れ

 この全句集、いや本の名前が「上甲平谷俳句集成」なのでそれに従い俳句集成
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