川柳が好きだから俳句を読んでいる(6、上甲平谷のこと)/黒川排除 (oldsoup)
わざ「上」「甲羅」「平」「谷」と別々にタイピングしなければならない、打ち込みにくくて読みにくいという煩雑さ。全句集検索などしてこの俳人のことを気に入ったのは、実は内容からではない。この簡潔な割に読めない名前、縦棒と横棒が異様に多い名前の漢字の構成、その不気味さにまずこころひかれたのだった。
月に籠る離屋の主や壺を並め
杉苗に雨がぽつりと夏隣
上甲平谷は伝統のひとだ。詳しいことは全句集末尾に記されている偉い人間の偉い批評文にまかせておくとして、見たとおり見たままに伝統的だとわかるぐらい伝統的だ、悪い言い方をすれば見た目が若干硬い。芭蕉研究を活かした古風な構成が緊張感として張り詰め
[次のページ]
前 次 グループ"川柳が好きだから俳句を読んでいる"
編 削 Point(1)