雨模様/そらの珊瑚
雨粒が個体のように転がって撥水製の傘の斜面を
雨の街そこが始発の駅ならば待っているのはみんな雨人
家がない ただそれだけで蔑まれ
ナメクジの這う赤いポストを
かなしみの氷河はいつしか溶かされて
誰にも優しい雨となりゆく
ごむまりであったいつかの私
雨はじきかえしていたっけ たやすく
夏になるほんの少しの戸惑いが雨に打たれてたたずんでいる
目を閉じてあまおとだけを聴いている
りばぷうる りばぷうる りふれいん
いくつもの輪を織り成して消えていく蓮池に降る雨の糸くず
雨模様ダム湖に沈んだ三叉路で傘もささずに誰か見上げる
今日の雨 そしていつかも降るであろう雨
ひるまずに濡れる勇気を 紫陽花に教わる
前 次 グループ"夢見る頃を過ぎても(短歌)"
編 削 Point(7)