夏の終わりに/そらの珊瑚
 
沖に出てあおむけに視るこんなにも空の広さがおしよせてくる

優しげな名前とは裏腹に盆過ぎて泳ぐ子 戒める海月

光る波ひとつふたつと三角の硝子の意志が増殖してく

足裏の次第に砂がさらわれてぐらんぐららん崩れゆく今

波と去るビーチサンダル追いかけたさよなら言うには未練、あります

さざ波よ 寄せては返す単純な仕組みがどうか続きますよう

波打ちの際の白く泡立てて夏の終わりと炭酸飲料

満ちている 沈む もまれる この海で浮力あること確かめ生きる


   グループ"夢見る頃を過ぎても(短歌)"
   Point(11)