十月夜の四方山話/小池房枝
 
他のどの白い花木にも思わない山茶花だけが降る雪に似てる

結納を終えほっとした友の父「本とマンガは全部持ってけ」
 
落ちたザクロ割れ目ざっくりぎっしりとダリのルビーがのぞいて見えてる
 
透き通るラピスラズリの空低く北を見つめて一人立つ月
 
一人だと思った月のかたわらに赤いアンタレス下るる大火
 
ヒガンバナ朱花(しゅか)は見事に朽ち果てて葉が出て来た今あとかたも無い
 
秋咲きの黄色一重の山吹が身を差し伸べて雨受くるさま
 
雨あらば直ぐに水かさ増す川が当然となって久しき大地
 
秋風に風鈴おろして型にして小さなプリンを一つ焼きます


一面に赤い茎した
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