六月の声は/小池房枝
うれしい川上の図書館までのラインセンサス
梅雨に入るや否やの晴れ間にオジギソウほどの小さなネムの初花
六月のどの手が夏至の砂時計ことんと返す昼から夜へと
万物に触れてゆく手はしなやかで白くてどこか汐の香がする
巣立ちびな子スズメ口からはみ出てる緑色のもの何とかしてくれ
地下深く遠来からの素粒子の青い光を湖に待つ
風立ちぬ香りも立ちぬ梔子と薔薇とバジルとミントのベランダ
その瞬間、風を鎮めて家々に風鈴配り風鈴を配る
雨傘は鼓膜いつでも一人ずつそれぞれの傘に違う雨音
ほたるぶくろ咲いたね今ごろ飛ぶほうのほたるもどこかで飛んでいようね
ベ
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