六月の声は/小池房枝
ベランダの窓がとんとん叩かれる。洗濯物かな風かなお入り
ねじ花よいきなり咲いたね居たんだね根菌もずっと一緒だったの?
瞬間を咲き継ぐ薔薇の花びらは南無阿弥陀仏なんまいだろう
フィボナッチゼロから螺旋を幾重にも重ねて溢れる深紅の花びら
柳絮かなそれとも何かのタンポポか朝日と風を舞い渡るもの
夕方の三日月今日も細くって昨日とおんなじ姿に思える
夜も咲いているのね昼咲き月見草 咲いたら散るまで咲いてるんだね
皿ならばかしゃんと割れよう沙羅の花つばきの風情でほたりと落ちてる
まだ咲いたばかりで既に満開の合歓いろあわくそよいでいました
駅のホームをミノムシが渡る何処へか行こうとしてかミノムシが渡る
ツユクサの青さ見るたび目が覚める気がする何から目覚めるんだろ
スーパーの駐車場から立ち話する声 雨はあがったらしいな
見たことのない淡い色の鳥がいた。夕日を浴びたムクドリだった。
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