六月の声は/小池房枝
 
がら香りをひらく八重のくちなし
 
ひとの手になるユリのその真白さに南の島の自生地を思う


雨の日にヤマネがポツリとつぶやいた
「この雨なかなかやまねーなー」って

カラスウリ真っ白な触手ふるわせて織り始められた夜絡めとって

見るからに巣立ったばかりのツバメたち電線の座り心地もむずかし
 
垂直に滑空しながら落ちてくる雨が見ている世界を見たいな
 
降る星は星ではなくて宇宙塵 空をこすって燃え上がるマッチ
 
こんびにで短冊さらさら笹の葉は揺れていたのか売られていたのか

爪先で通せんぼするよダンゴムシ駅のホームをどこへと向かう

すっぽんが増えててうれ
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