■批評祭参加作品■夭折をあきらめて夜が明けてゆく/岡部淳太郎
スの一九九九年は、何事もなく過ぎ去っていった。僕は日々の生活を惰性で過ごしながら、夭折という観念をますます忘れていった。
そして、二十一世紀が訪れた。僕の書く詩は次第に何とか見られるものに変りつつあった。結局、詩を書きつづけていくしかないのだと思い決めた僕は、ゆっくりとではあるが、人の詩を読んではそれを自らの詩作の糧とする作業を繰り返していた。何事もなく平穏に訪れた二十一世紀。だが、そんな中、ある事件が起こった。僕の実の妹が亡くなったのだ。衝撃だった。現実感を欠いた信じられないという思いがやってきて、少し遅れて悲しみがやって来た。春の日ざしの下で妹の遺影を持って歩きながら、これからはいよいよひ
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