詩人の罪/岡部淳太郎
、僕は言いたい。それでは、あなたは身近な人の死に出会ったことがあるのか? と。僕はどうしても感情を優先して物事を考える傾向にあるのだが、こうした意見を述べる人間が時にとてつもなく冷徹であるように思えることがある。自分の身近で人が死ねば、それをテーマに詩を書かずにはいられない、そんな感情が、多くの詩人のうちに眠っているのではないかと思う。人の死をテーマにした詩を否定する者は、ただ単に身近な死者に出会っていないだけなのではないか? そんな疑いをどうしても持ってしまう。
つい感情に押し流されて、筆が先走ってしまった。だが、やはり納得がいかない。人の死をテーマにした詩を否定するという考えは、どう見ても
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