睡眠/はるな
しは彼女が憎かった。強烈に憎かった。体じゅうの骨がいちどきに砕けて溶け出すような怒りがやって来て、わたしとわたしの知る世界のすべてを覆うゼリーをざらざらの水にしてしまった。わたしは憎しみと怒りと混乱で汗だくになった。まだ言葉は出なかった。怒りを口にするには言葉はわたしから離れすぎていた。彼女はびしょ濡れになった毛布を除け、わたしの体を拭いた。わたしは泣いていて、顔まで拭われた。はげしい憎しみに身動きも取れないまま彼女に拭われていた。こわばったわたしの体を彼女はまた横たえ、目を閉じた。眠りなよと彼女は言った。わたしは眠るねと言った。そして目を閉じた。いつぶりだろう。わたしは体がひどく重たいことに気付
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