睡眠/はるな
た世界に置かれた。空気は濁り、呼吸をするのに必死だった。それでもわたしは溺れ続けた。自ら進んで。四十秒ごとに訪れる覚醒。そのほうが地獄だった。食事も排泄もすでに遠くにあった。意味も理由も。あることだけがあった。それはともすればわたしの望んだ世界そのものだった。疲れ果てていた。疲れ果てて、ますます眠り方を思い出せなかった。眠ることも、眠らないことも、ほとんど同じことのように思えた。存在を隔てるのはほんとうは死だけなのだなどと考えていた。頭の中身もゼリーのように、そして、わたしはわたしの境目さえなくした。そうだった。わたしは望んだようになった。そこまで来ても、わたしは眠りたかった。眠りがどんなものかも
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