白黒写真(シマウマ)/士狼(銀)
風邪をこじらせて肺が重くなった
冷たいシーツの端を
そっと爪先で手繰りながら
冬眠するみたいにとぐろを巻いた
暗い明日の叫びを
遠い意識で聴きながら
目が覚めたらシマウマだったので
善か悪かの判断とか
奇蹄目の僕には恐ろしくて
グレーゾーンっていう位置に浸る
白か黒かの基準に
ワンワン吠えてみたら
そんなに危険なものではなかった
蹄を撫ぜた夜風の群は
少しずつシマウマの皮を剥ぎ
考えすぎも考えものだと詰ってから
たまには空を見ろと
ソの音域を刻んで流れた
目が覚めたら5本の指が揃っていて
選択肢が増えたことを喜んだ
シマウマには申し訳ないけれど
ひとつの可能性よりは
いつつの方が僕は頑張れるので
シマウマはアフリカで待っててくれ
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