素顔/
士狼(銀)
れるのを躊躇う
絹のような滑らかさと
痛いほどの冷たさに怯えて
胸に抱かれた幼子の顔と
母の微笑に
囁くように告げるのは
懺悔
喉の痛みがなくなると
ランプの灯が眼に沁みて
わたしはひっそりと、
泣くのであった
眼鏡をかけて日常に戻り
玄関の錠を
しん、と落とす
口元には
小さな笑みを浮かべ
処方された無口を
粉薬で内側に溶かす
隠した涙は頬に刻まれたまま
強がりを被って、眠りに落ちる
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