悲しみを一匹の鼠と錯覚していた正午に、
石から石へと移ってゆく影こそが私なので
あった。落葉が、古くなってしまった楽譜
のようにぺらぺらと捲れてゆくときに、ゾ
ウリムシより微小なのも私なのであった。
追う視線としての謙虚な家屋でさえも私。
扉は扉に開き、動く動きは動きをやめない。
過去から落ちた無数の、丸く透明な柘榴。
それらが驟雨となってあなたの細い肩へと
注ぐとき、自らの静脈を流れる赤さについ
て思索を巡らせている間抜けは私ではない。
低く重い金属音を響かせつつ、あなたが暗
[次のページ]
前 次 グループ"コラージュ×4!"
編 削 Point(4)