「書く女」 書く女は 窓辺の 机のあたりに漂っている 霧深い部屋に そなえつけられた 軟体 書く女 かつては川 あるいは不吉な天候 いまは 流体 書く女は 選ばれるのを 待っている 唇に その 控えめな震動に 導かれることだけを 待っている 窓の 暗さに 挿し込まれたものが そっと 引きぬかれてゆく 空気 ひとつの 宵 書く 女は 書かない 「東京のタイル」 [次のページ] 前 次 グループ"コラージュ×4!" 編 削 Point(2)