言葉へのコラージュ/草野春心
 


 「いくつかの骨」

  お前の
  すべすべした手の甲の
  化膿した傷口から
  いくつかの助詞が突き出ている
  それは月夜の骨のように
  生々しくも無機質だ
  だが
  そのうえ
  したがって
  接続詞の散乱した物置で
  僕がお前の
  失われた皮膚を捜す間
  お前の痩せた体の震えが
  目まぐるしく時制を更新し
  やがて空気と一つになるとき
  張り詰めた冬の風が
  木戸の隙間を通り抜け
  僕の背中の肉を削ぐ



 「眼球」

  朝、
  机に置いた分厚い辞書が
  私をひいていた
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