喪失へのコラージュ/草野春心
かの、使い古された静脈が砂
漠に這っていて、その先端から血溜まり
が広がっていて、旅の男が口を濯ぎ、水
筒に、その赤さを細長く貯水し、去って
ゆく足元に、なにものかの、使い古され
た表皮が乾いていて、啄むものもなく、
影よりも無口に、みずからを繰り返し、
みずからを深くしてゆくので、悲しみは
そこに閃く、太陽から遠く、神々の歌か
らも遠く、すべてへと、帰郷したいと、
願う先に光は燃え、くるおしく光は燃え、
焼き付くことを繰り返す。
*
かつて魚が群泳していた記憶だけをと
どめて、呼吸している海がわれわれを
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