あいするひとよ/草野春心
あいするひとよ、
ほんとうの
きみのその気持ちは
とうめいな廊下になって
蜘蛛の巣がからまったような
きょうの丸い月にむかって
ひたむきに伸びている
あいするひとよ、
きみのその決意を
ばかにする人が千人いて
輪をなしてけらけら笑っても
ぼくは
そいつらと関係ない
ただ煙草に火をともして
きみのゆくてを
照らせたらと願うだけ
あいするひとよ、
きょうの丸い月に似て
ほんとうに綺麗なものは
ひとつしかない
あいするきみよ、
なによりも険しい道は
ひとつしかない。
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